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金(AU)とプラチナ(PT 白金)はやわらかさと延びる性質は特に似ています。
違いは色は歴然としてわかりますが、溶解温度が違うのです。
*鉱物学的には多々ありますが、彫金としてお話します。
どちらも貴金属で高価なものです。 (執筆時 1g 金4700円位 プラチナ3700円位)
本来プラチナの方が、2~3割位金より高い価格と思っていたのですが、
今は社会情勢や景気が不透明なので金が投機的な物になっているのかな? と思います。
金の溶解温度は約1100℃ プラチナは約1800℃ でこの違いが
歴史的にも大きな物を残していると私は思ってます。
金は炭火等に風を吹き込み(ふいご)、その時の温度で解けるのですが、
溶解温度1800℃のプラチナにはなんの変化もありません。
金が解ける前には赤くなるのですが、それすらありません。
溶解、ロー付(金等のパーツをローという溶剤を使ってをひっつける)作業は
都市ガス(プロパンガス)と酸素の混合ガスを、ガスバーナーを使って行うのですが、
プラチナの溶解作業は50グラムを超えるとむずかしく、100グラムでは不可です。
プラチナの溶解には都市ガス(プロパンガス)の変わりにアセチレンガスを使います。
すなわち、酸素とアセチレンガスの混合ガスです。(約3000℃ の温度になる)
*アセチレンはカーバイト(昔、夜釣り等の照明に使用)と同じと思っていいかな?
炭火、ふいご等は紀元前以前にもあったと思われますが、
酸素、アセチレンはなかったと私は思っております。
溶解できない金属は装飾品としては、加工できません。
ですから、古代の遺跡からプラチナの装飾品はでてこないのです。
*プラチナ埋蔵品としては
紀元前1600年位のエジプトの遺跡でプラチナ装飾品が発見されてますが
小さくて装飾品といえるかなと思っています。
(ツタンカーメン黄金仮面等とは違いすぎて比べられません)
純度もかなり低いです。
紀元前720年位にテーベの小箱といわれる純度80%位のプラチナ装飾品が発見され、
これはかなり高度な精錬技術があったのかなと私は思いますが、
しかし金の装飾品と比べると、かなり見劣りしています。
歴史的にもスキタイ遺跡クラスのプラチナ遺跡装飾埋蔵品はないのです。
これはすべて溶解温度約1800℃の壁だと思っています。
次回投稿6は続いて金、プラチナのお話をします。